ハマサイの眼が表現する「白黒」の世界をテーマに私の作品を紹介していこうと考えまして、このページを開設してみました。

 第三回の作品はアカサカサカスでの一コマ。

 学生の頃、一生懸命に働きながら大学に行きました。働いても働いても生活費と銭湯代できれいさっぱりお金が消えていきます。学費のために日中も働いて講義に出られないくらいでした。まったくもって「本末転倒」ってことに気付き始めて、かなり嫌気がさしてきてしまったころ、下宿にこもって文庫本を読み漁りました。最初は太宰治とかなんとかだったのですが、苦学生(完全に死語?)が読むような内容ではなく、つまり「そんなにくよくよできるということは生活に余裕があるってことでは?!」というように思えてしまって、いきおいハードボイルドに傾倒していったのでした。

 ハードボイルドな主人公たちは体を鍛え、野生の感を研ぎ澄まし、肉を喰らうときには酒で胃に流し込む。キューバ葉巻をくゆらせてガツンと濃厚なコーヒーを好む・・・とかなんとか。そしてもっとも重要なものは「あきらめない」という強烈な信念。

 私が学生の頃、角川書店の影響もあってかハードボイルド全盛であった時期かもしれません。家を出て一人で暮らしを始めていろんなことが巻き起こりくじけそうになった時にこの「ハードボイルド」な男達の「絶対にあきらめない」信念がどんなに支えになったことでしょう。

 私はお酒が飲めない体なので(だから今があると思いますが)小説のような大人な世界には浸ることはありませんでしたが、それでもあの時の影響なのか、コーヒーはエスプレッソのダブル。気の利いたお店でターキッシュがあればなおよし。

 サカスにシガーバーが出来ていて、以前からとっても気になっていたのですが入ってみることにしました。30分くらい楽しめる短めの葉巻をいただいて、エスプレッソのダブル。途中で少しチョコをかじりながら煙をくゆらせてゆったりとした時間を味わいました。

 学生の頃あこがれたハードボイルドな40過ぎの大人。実際にその時になってみると「あはは!たいしたことないや」って感じで、思わずにやにやしてしまいました。

 カウンターから私の様子を見ていた店員さんが「楽しまれてますね、いかがですか、いい葉巻でしょ?」って。

                    ハマサイ

Vol.3 「その時になって」