この激しい雨なら打ちつける波と島々にかぶる低い雲を撮影できる絶好のチャンスであろうと、グーグルアースで撮影ポイントを探し出し、日の入り時刻も確認。レインスーツなど何の役にも立たない嵐のなかにハーレーを駆りだした。高速を走って山口まで入り、山間部を抜けて日本海側へ出る。夕刻のライティングはねらった通りだ。しかし、なんと波がなく、瀬戸内の海よりも静かであったことはまったくの誤算だった。昭和天皇が来られる際に建設された展望台に登る。
そこには静寂の水墨画の風景が広がっていた。何の音もしない。ただゆっくりと雲が過ぎ、漁に出る船が意外にも足早に進んで行った。ずぶぬれのまま撮影をしつつも1時間以上景色を眺めていただろうか。ふと我に返ると予約を入れておいた小さな民宿のチェックイン時間が迫っていた。
民宿「女台場」の軒先ですべて着がえて何食わぬ顔で玄関に入ろうと思っていたが、玄関脇の駐車場にハーレーを入れたとたん、女将が裏口から出てきて「あら、あんた単車で来たの!そのままでいいからお風呂に入りなさいっ!」とまるで子供使いされ宿泊している現場作業員や行商人達の視線を感じつつ食堂横の風呂場に直行。冷えた体に民宿のお風呂はあまりにも熱く、真っ赤になった身体はこれが「茹でダコのよう」という状態なのだろうと少し可笑しくなった。
平成21年10月2日撮影。 山口県萩市笠山展望台にて。
※ちなみに私のハーレーは道交法に則ったとても静かな音なのですが・・・。